乳歯の虫歯はどうやって防ぐ？知っておきたい予防とケア方法
はじめに
乳歯は、生え変わりがあることから、一時的な歯と考えられがちですが、顎の成長を支え、将来の永久歯の正しい位置を決める重要な存在です。虫歯により乳歯の機能が損なわれると、顎の成長や永久歯の歯並びに問題が生じる可能性があります。この記事では、乳歯が虫歯になってしまう原因や予防法、万が一虫歯になってしまった場合の治療法をご紹介します。
乳歯が虫歯になりやすい理由
乳歯は永久歯よりも柔らかく、表面のエナメル質の層は少ない特徴があります。抵抗力が弱いため、、虫歯菌が出す酸で溶けてしまうことがあります。また、子どもは、自分自身でしっかり磨くのが難しいことがあります。大人が仕上げ磨きをして、磨きにくい箇所の清掃をサポートすることで虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。さらに、乳歯に多い「エナメル質形成不全」がある場合は、生まれつき歯が弱く、歯が欠けたり変色しやすくなります。そうした症状が見られた場合は、早めに歯科医院に相談することが大切です。
虫歯のリスクが高い3つの場所
奥歯の噛み合わせ部分
乳歯の奥歯の噛み合わせの溝は、永久歯よりも深く、複雑な形をしています。溝の深い部分に歯垢が残りやすく、十分に磨けていないことが良くあります。
歯と歯の間（隣接面）
歯と歯の間（隣接面）は、子ども自身ではしっかり磨くことが難しい場所です。さらに、この部分に虫歯ができても、発見しにくく、症状が進行してから気づくことがよくあります。そのため、デンタルフロスなどを使用して、毎日丁寧にケアすることが効果的です。ただし、小さな子どもがフロスを上手に使うのは難しいことも多いため、保護者のサポートが重要です。
前歯
前歯の裏側や根元は、甘い飲み物や食べ物の影響を受けやすいです。また、1歳半を過ぎても哺乳瓶を長期間使用することなどが虫歯の原因になることもあります。
乳歯の虫歯が永久歯に与える影響
永久歯の歯並びが乱れる
乳歯の虫歯を放置してしまうと、永久歯が正しい位置に生えなくなることがあります。これは、乳歯が早く抜けてしまうことで永久歯が生えるまで、長くスペースが開いてしまうからです。結果として、歯並びが悪くなり、将来的に矯正が必要になることもあります。また、虫歯の痛みで、片側だけで噛む癖がついてしまうと、顎の成長に左右差がでてしまうことがあります。
エナメル質形成不全
エナメル質形成不全は、乳歯に多く見られますが、乳歯の虫歯が原因で永久歯にも起こることがあります。乳歯の虫歯が進行して歯髄が壊死すると、歯の根に膿がたまることがあり、この膿が乳歯の根にある永久歯の元となる細胞（歯胚）に影響を与えることがあります。その結果、後に生える永久歯がエナメル質形成不全になることがあります。
乳歯の虫歯の治療法
コンポジットレジン充填（プラスチックの詰め物）
小さな虫歯は、コンポジットレジンと呼ばれるプラスチックの樹脂で埋めます。歯の色に近い白色であるため、目立たず自然な見た目を保つことができます。
神経の治療（根管治療）
虫歯が進行して歯の神経まで達してしまった場合は、乳歯でも根管治療が必要になることがあります。これは、痛みや感染を防ぐために歯の神経を除去し、歯の内部を清潔にした後に詰め物をする治療です。
抜歯
乳歯の虫歯が深く、修復が難しい場合には、抜歯になることもあります。この場合、永久歯が生えるまでスペースを維持するための保隙装置が使われることが一般的です。
乳歯の虫歯予防のポイント
毎日の歯磨きと仕上げ磨き
虫歯予防のためには、毎日の歯磨きの習慣が大切です。特に寝ている時には唾液の分泌量が少なくなるため、口の中の細菌が増殖しやすいです。そのため、念入りに仕上げ磨きをしましょう。仕上げ磨きでは、届きにくい奥歯の溝をしっかりと磨き、歯と歯の間にはデンタルフロスなどを使うことやフッ素入りの歯磨き粉を使うこともおすすめです。
食事の見直し
虫歯のリスクを減らすために、砂糖が多く使われているチョコレートやキャラメル、ジュースなどはできるだけ控えましょう。食事とおやつの時間をきちんと決め、ダラダラ食べない習慣をつけましょう。代わりに水やお茶、低糖質のクッキーや煎餅、チーズなどをおやつとして取り入れるのも良いです。
歯科医院でできる乳歯の虫歯予防
フッ素塗布
フッ素は、溶け始めたエナメル質（脱灰）を修復する「再石灰化」を促進します。歯科医院で使用されるフッ素は市販品よりも濃度が高く、高い効果を期待できます。定期的にフッ素塗布を行うことで、歯を強くすることが期待できます。
シーラント
シーラントは、奥歯の溝にプラスチックの樹脂を埋め込んで虫歯を予防する処置です。特に噛み合わせ部分に効果的で、歯垢が溜まりにくく、磨き残しを減らすことができます。
まとめ
乳歯の虫歯は、将来の永久歯の健康や歯並びにも大きく影響します。特に小さなお子さんは、治療への協力が難しいこともあるため、毎日の歯磨き習慣をしっかりと身につけることが重要です。また、定期的な歯科検診やフッ素塗布、シーラントなどの予防処置を取り入れ、乳歯の虫歯予防に積極的に取り組みましょう。
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