子どものむし歯予防と対策
子どもの歯科疾患で最も多いのはむし歯で、子どもの歯はむし歯になりやすいことが明らかになっています。正しいむし歯への治療・予防の知識や生活習慣の改善などにより、子どものむし歯は減少していますが、学校健診8〜9歳の約6〜7割がむし歯になった経験があるとされています。
むし歯は子どもの全身の健康にも悪影響を及ぼす心配な問題ですが、適切なケアや生活習慣で予防することが可能です。この記事では、子どものむし歯の原因やむし歯になった場合の対処方法、家庭でできるむし歯予防対策などについて、くわしく解説します。
むし歯になる原因は?
むし歯は、口の中の細菌が糖を栄養にして酸を産生し、その酸によって歯が溶かされた状態のことをいいます。子どもの歯がむし歯になる原因にはさまざまな原因が考えられますが、以下のような原因によって引き起こされることが多いです。
糖分の多い飲食物を好むこと
甘いジュースやお菓子など、糖分の多い飲食物を頻繁に摂取することは、むし歯になるリスクを高めます。これは、むし歯の原因となる細菌が糖を栄養に増殖するからです。砂糖を含む食品を多く摂取している子どもは、そうでない子どもと比較し、むし歯が多く発症していることが報告されています。
不十分な歯みがき
歯みがきが不十分だと、むし歯の原因となるプラーク(歯垢)を十分に取り除くことができません。プラークは歯の表面についた白くやわらかい汚れで、むし歯や歯周病の原因となります。子どもが自分で歯みがきを行うようになることで、奥歯や歯のすき間、新たに生えた歯などに汚れが残りやすく、むし歯が発生しやすくなることが考えられます。自分でしっかり磨けるようになるまでは、大人が仕上げ磨きなどでサポートすることが重要です。
不規則な食事習慣
食事の時間が不規則だったり、間食が多かったりすると、むし歯の原因となる細菌が住みやすい環境をつくりだしてしまい、むし歯になる可能性が高まります。また、間食の多い食生活やだらだら食べは、歯が修復される時間を短くし、むし歯になるリスクを高めると考えられています。
むし歯ができたときはどうする?
むし歯ができた場合には、早期に適切な対応を行うことが重要です。小児のむし歯は早期治療により、むし歯の進行を予防することができます。
初期むし歯の治療
初期のむし歯は、歯を削らずに治療することが可能な場合もあります。フッ化物など歯の修復(再石灰化)に有効な薬剤を塗布する治療により、初期むし歯が元に戻ることもあります。歯に穴が開いてしまう前に、早期治療により進行を食い止めることが重要です。
穴が開いた虫歯の治療
穴が開いたむし歯はむし歯の部分を削って取り除き、取り除いた部分に詰め物をして歯の形を回復させます。むし歯が進行してある程度大きくなると、金属などの詰め物や被せ物による処置が行われます。
家庭でのケアを強化する
むし歯ができた場合は歯科にて早期治療を行うことが重要ですが、並行して家庭での歯のケアを強化するようにしましょう。正しい歯みがきを徹底することや、フッ化物を配合した歯みがき剤を使用すること、糖分の過剰摂取を控えることなどにより、むし歯が進行したり新たなむし歯ができたりするのを予防することが大切です。
家庭でできるむし歯予防対策
正しい歯みがき習慣を確立する
むし歯になるリスクを低下させるには、正しい歯みがきを習慣化することが重要です。正しく歯を磨くことにより、むし歯の原因となるプラークを取り除くことができます。
歯ブラシは歯の根元に直角にあて、歯肉にもブラシが当たるようにしてください。小刻みに横にブラシを動かし、1本1本丁寧に磨くようにしましょう。歯みがき剤は、むし歯の予防に効果があるフッ化物を配合した歯みがき剤を使用するようにしましょう。
食生活に注意する
糖分を多く含む食べものや飲みものを頻繁に摂取することは控えるようにしましょう。時間をかけてだらだら食べることもむし歯になるリスクを高めるため、なるべく食事は時間を決めるなどして規則正しい食生活を送るようにしてください。よく噛んで食べることも、むし歯予防には有効です。
定期的に歯科検診を受診する
むし歯は早期発見・早期治療により、進行を防ぎ、むし歯を予防することができます。そのためにも、定期的な歯科検診が重要です。小児歯科では、歯科検診とともにフッ化物の塗布などによるむし歯予防を行うこともあります。子どものころから歯科医院に通うことが、歯の健康を守ることの大切さを学ぶことにつながります。
まとめ
子どものむし歯は、適切な予防と早期発見が重要です。家庭で正しい歯みがきや規則正しい食生活、定期的な歯科検診の受診などをサポートすることにより、子どもの歯の健康はを守ることができます。むし歯を予防し健康的な歯を保つために、家庭と歯科医院で連携して取り組むことが大切です。