小児矯正は2段階に分かれる?Ⅰ期・Ⅱ期治療の違いとスケジュール完全ガイド
「子どもの歯並びが気になるけど、いつから矯正を始めればいいの?」
「小学生でも矯正はできるの?それとも中学生からがいいの?」
「よく聞くⅠ期治療とⅡ期治療って何が違うの?」
お子さまの歯並びについて、このような疑問をお持ちの保護者の方は多いですよね。小児矯正は成人の矯正とは異なり、お子さまの成長に合わせた適切なタイミングと方法で行うことが大切です。
小児矯正の2段階治療について
小児矯正は主に「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階で行われることが一般的です。これは子どもの顎の成長や永久歯の生え変わりの時期に合わせた治療方法で、それぞれの目的や使用する装置が異なります。
Ⅰ期治療(早期治療)の特徴
Ⅰ期治療は主に乳歯と永久歯が混在する混合歯列期(小学生頃)に行われます。この時期は顎の骨が成長途中であるため、顎の発育を促したり誘導したりすることができるのが特徴です。
主な目的は、顎の発育不全や不均衡の改善、永久歯が正しく生えるためのスペース確保、上下の顎のバランス調整などです。また、口呼吸や舌の癖などの機能的な問題の改善にも取り組み、将来的な矯正治療の負担軽減が期待できます。
特に、現代のお子さまに多い「歯が大きく顎が小さい」という問題に対応するため、成長過程にあるうちに上下の顎の位置や大きさのバランスを整え、顎の広さを確保することが重要です。そうすることで、将来的に抜歯をしなくても済む可能性が高まります。
使用する装置は、拡大装置(パラタルエキスパンダーなど)や機能的矯正装置(ムーシールド、FKOなど)、部分的なブラケット装置、リテーナーなどがあります。痛みの少ない治療を大切にする考えから、お子さまの負担が少ない取り外し可能な装置を中心に、状態に合った装置を選んでいきます。
Ⅱ期治療(本格矯正)の特徴
Ⅱ期治療は永久歯がほぼ生え揃う時期(中学生頃)から開始する本格的な矯正治療です。乳歯から永久歯への生え変わりが完了した後、より詳細な歯並びの調整を行います。
この治療では、永久歯の細かい位置の調整や歯並びの審美性の向上を目指します。また、咬み合わせ(咬合)の最終的な調整や顔貌バランスの改善も重要なポイントになります。
使用する装置としては、マルチブラケット装置(表側または裏側)やマウスピース型矯正装置、保定装置などがあります。インビザライン認定医の資格を持つ専門医なので、目立ちにくい矯正装置や、お子さまの生活に合った装置をご提案できます。特に見た目を気にする思春期のお子さまには、透明なマウスピース型矯正装置や、歯の裏側に装着する裏側矯正なども選べます。
小児矯正の理想的な時期
小児矯正を始める最適な時期は、お子さま一人ひとりの成長や歯並びの状態によって変わってきます。「歯医者で定期的にクリーニングを受ける」「おかしいな?と思ったら、すぐに歯医者を受診する」習慣を広めたいという思いから、早い段階での歯並びチェックをおすすめしています。
最初の矯正相談・検診は6〜7歳頃が適しています。この時期は第一大臼歯(6歳臼歯)と前歯の永久歯が生え始める時期で、顎の発育状態や将来的な歯並びの問題が分かりやすいです。
必要に応じてⅠ期治療を行うのは7〜10歳頃が目安です。顎の成長を利用した治療が可能で、治療期間は約1〜2年程度です。その後、永久歯の生え変わりを見守る期間に入ります。
Ⅱ期治療は12〜14歳頃(永久歯が生え揃った後)に行います。本格的な矯正治療を開始し、治療期間は約1.5〜2年程度です。治療後は保定期間(後戻りを防ぐ期間)が必要になります。
特に6歳~9歳の永久歯の生えはじめ時期は、お口の状態が日々変化していくため、歯並びによっては矯正治療を検討するのに良い時期です。
Ⅰ期治療とⅡ期治療、必ず両方必要?
「Ⅰ期治療を受けたら、必ずⅡ期治療も必要なの?」というご質問をよくいただきます。
実は、すべてのお子さまにⅠ期治療が必要というわけではなく、また、Ⅰ期治療を受けたからといって、必ずⅡ期治療が必要になるわけでもありません。患者さま一人ひとりのニーズに合った治療計画を重視し、不必要な治療は行わない方針です。
軽度の上顎の狭窄(きょうさく)や軽度の反対咬合(受け口)、指しゃぶりなどの習癖による開咬などは、Ⅰ期治療だけで済む可能性があります。一方、重度の不正咬合や著しい顎のずれ、永久歯の萌出スペースが大幅に不足している場合などは、Ⅰ期治療とⅡ期治療の両方が必要になることが多いです。
「患者さま一人ひとりのニーズに合った治療計画を立案し、最善の治療を行う」という理念に基づき、無理な治療は勧めません。お子さまの将来を見据えた適切な矯正治療プランをご提案します。
小児矯正のメリット

小児矯正には、成長期の顎の発育を利用できる大きな利点があります。これによって、将来的な抜歯矯正を避けられる可能性が高まります。また、口呼吸や舌の癖などの機能的な問題も同時に改善でき、歯並びが良くなることで虫歯や歯周病のリスクが減り、お子さまの自信にもつながります。
「子どもの頃から歯医者に通う習慣を身につけることが重要」と考えています。特に近年は親御さんの予防意識が高まり、虫歯のないお子さんが増えてきた一方で、お子さんが自立し始める年齢こそ注意が必要です。小児矯正を通じて定期的に通う習慣が身につけば、将来的な口の健康にも良い影響があります。
小児矯正の注意点
一方で、治療期間が長くなる可能性があることや、お子さまの協力が必要になることも考えるべき点です。成長に伴う変化で予想通りにならないこともあります。費用の面も考慮点の一つですが、段階的に費用を分けられる利点もあります。
まとめ:適切な時期での矯正が大切
お子さまの歯並びや噛み合わせの問題は、早めに見つけて適切な時期に治療を始めることで、より効果的に良くなります。ただし、「早ければ早いほど良い」というわけではなく、お子さま一人ひとりの成長に合わせた最適な時期があります。
特に現代のお子さまは歯が大きく顎が小さい傾向にあるため、成長期の顎の発育を上手に促すことが大切です。お子さまの歯並びが気になったら、まずは矯正相談で状態を確認してみるとよいでしょう。
当院では、”痛くない・怖くない”治療を大切にし、患者さまに寄り添った診療を心がけています。お子さまの健やかな成長と素敵な笑顔のために、ぜひ一度ご相談ください。